30歳位かな、本屋さんでふと手に取ってしまったこの本。
仕事に恋に突っ走っていたアラサーのこずえさん、
きっといろいろとつらくて眠れない夜が続いていたのでしょう。
しかし、そのおかげで内田樹先生に出会うことができました♪
一時期新刊が出ると買って読んでいましたし、
先生が傾倒している古武道をかじってみたりしました(1日だけ)
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その内田先生の本の中でも、この本が一番好きで、
いいなと思うところを折ってたら、厚さが2倍くらいになってます(笑)
自分が頑張り過ぎていると感じた時、スローダウンするために手に取る本です。
なぜスローダウンする必要があるのか?
人間はわりと簡単に壊れる
~心耳を澄ます~
からです。
高すぎる目標設定、極度のプレッシャー、不快な人間関係。
そんな日々で本当に壊れてしまう前に、
目標設定を下げ、プレッシャーを避けて、不快な人間関係から逃げるために。
疲れたら、正直に「ああ、へばった」と言って、手を抜くということは、生きるためにはとてもたいせつなのです。-中略-
でも、「一ランク上の自分」に取り憑かれた人は、身体や精神が悲鳴をあげるまで痛んでも、なかなか休みません。疲れて立ち止まると、そういう弱い自分を責めます。-中略-
向上心は確かにある方がいい。でも、あり過ぎてはいけない。
~ワンランク下の自分に~
なぜ向上心があり過ぎてはいけないのか、
なぜ無理したり我慢しちゃいけないのか、
向上心、無理、我慢の構造を分かりやすい例を交え、軽妙に説明されます。
頑張り過ぎ、スローダウンしろ!と言われてもなかなかできません。
それは、自分は怠け者じゃない!的なおかしなプライドや、
怠けたら自分はダメになっちゃうんじゃないかという恐怖やらあるから。
でも、内田先生の解説を読んでいると、
頑張り過ぎることそれ自体が、合理的ではないことに気づかされます。
だから、自分を甘やかしてしまうんだ、と思わずに、
合理的な判断として、怠ける自分を許すことができる。
さらに無駄に「頑張り過ぎる」思考体系を揺るがすので、再発も防止します(笑)
君たちにはほとんど無限の可能性がある。でも、可能性はそれほど無限ではない。
ぼくたちの可能性を殺すものがいるとすれば、それはほかの誰でもありません。その可能性にあまりに多くの期待を寄せるぼくたち自身なのです。
~心耳を澄ます~
自分の可能性をつぶしちゃいけない。だから、スローダウンするんだ、櫻田!
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櫻田が「構造主義」という考え方に出会ったのは、この本です。
#この本には「構造主義」という言葉は出て来ません。
私たちはつねにある時代、ある地域、ある社会集団に属しており、その条件が私たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している。-中略-
むしろ私たちはほとんどの場合、自分の属する社会集団が受け容れたものだけを選択的に「見せられ」「感じさせられ」「考えさせられている」
Wikipedia:構造主義
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A7%8B%E9%80%A0%E4%B8%BB%E7%BE%A9
構造主義的に考えると、
人間というのは、オリジナリティのない生き物なのです。
~家族を愛するとは~
「ほんとうに私が欲望しているもの」なんて存在しない。
人間の欲望は本質的に他人の欲望を模倣するものです。
〜家族を愛するとは〜
ふむふむ。ふーん。←分かっているような分かっていないような。
「ほんとうの自分」というのがまるっきりの「作り話」だからです。
~「らしく」生きる~
「ここにいる私はほんとうの私じゃない!」
とか言って一人旅に出ることのアホらしさ←出た事がある(汗) を説明され、
変な方向に凝り固まっていた自分を恥ずか懐かしく思い出したり。
その他いくつか気になった言葉を。
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礼節というのは、まさに「生き延びるための智慧」なのです。
〜「らしく」生きる〜
「品」というのは、要するに、「らしさ」の内側にあえて踏みとどまる節度のことです。
〜「らしく」生きる〜
不快な人間とかかわると、ちょうど可聴音域を超える低周波が睡眠を妨害するように、恒常的な不快感が「ボディーブロー」のようにゆっくりと効いてきます。そして、精神と身体がだんだん損なわれてゆきます。
〜心耳を澄ます〜
嫌な人からは堂々と逃げればいいんだ!
相手が自分のことをどれほど愛しているのかを知ろうとして、愛情を「試す」人がいます。愛情は「試す」ものではありません。「育てる」ものです。
〜心耳を澄ます〜
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櫻田は村上春樹を読まないのですが、
この本に引用されたこの言葉は櫻田の人生にとても大きな影響を与えました。
小さくても確実な幸福@村上春樹
これを一つ一つ積み重ねていくことこそ、幸せになるための最良の道。
誰でも知っていることだけど、明快に分かりやすく表現されていて、好きな言葉です。
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眠れない夜に読み出せば、
知的好奇心が刺激されてさらに眠れなくなること請け合い!