マラカニアン宮殿博物館ツアーで日本とフィリピンの歴史を学ぶ〜キリノ元フィリピン大統領の恩赦〜

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マニラで「マラカニアン宮殿」の見学ツアーに参加して参りました櫻田こずえです、皆さまごきげんよう!

非常に貴重な経験になったので、ご紹介させて頂きます。

マラカニアン宮殿とは、日本の首相官邸とか、ホワイトハウスのような存在です。
Wikipedia:マラカニアン宮殿

マラカニアン宮殿のサイトよりお借りしました

宮殿自体には一般人は立ち入ることはできませんが、「マラカニアン宮殿博物館」は見学することができ、ガイド付きツアーも実施されています。

入り口でチェックを受けます

パスポートの写真付きページを事前に提出するなど、わりと厳格な手続きが必要で、今回全て現地の方に対応して頂きましたが、自力で申し込むこともできるようです。

Presidential Museum and Library:Reservations For Tours

ツアーの内容はいつも同じものではないと思いますので、詳しくはお問い合わせくださいませ。

マラカニアン宮殿博物館ツアー

フィリピンの歴史についていろいろ調べましたが、このサイトがとてもよくまとまってます!

世界史の窓:フィリピン
特にこちらをどうぞ (6)日本軍の占領と軍政

ゴージャスな館内と歴史を物語る資料

博物館には、主にフィリピンの歴代大統領、それに伴うフィリピンの歴史についての資料がたくさん保管されています。

実際に記者会見を行った部屋、会議を行った部屋など、臨場感ある展示と共に、職員の方のガイドがつき(英語)、ただの資料館とは違う、なんだろう、こうリアルに「感じる」ことができるツアー。

フィリピンの人にとっては、教科書で学んだ、テレビで見た、あの場所やこの写真が展示されているので、相当盛り上がります。

チェコから贈られたというシャンデリア。

ちなみにこの部屋は、フィリピンで一番最初に冷房が設置された部屋だとか。

大統領選挙の投票率が80%って!

現大統領、ドゥテルテ大統領の展示がやはり圧倒的に多いのですが・・・

あっ!こちら、大統領ですっ!

フィリピンは大統領選挙の投票率が80%!と、アメリカでも60%に満たない中、非常に高いそう。

国民の誰もが、歴代大統領の名前を言えるとか(もちろんそれくらい!という意味だと思いますが・・)日常会話の中で政治に関する話題が多いとか。

タガイタイの絶景ポイントの歴史でも、フィリピン人の主体的な政治参加のバックグランドを知ったり。

マニラの「エドサ」という道に100万人もの人々が集まり、抗議運動を行なったという、非常に民主的な革命で、フィリピン人が「ピープルパワー革命」と誇りを持って呼んでいるそう。
Peoples Park In The Sky★タガイタイの絶景ポイント/歴史的建造物

ただ、投票率の高さには「政治への関心」や「国民自ら大統領を選べる直接選挙」ということ以外にも理由があり、「2連続の無投票で投票権がはく奪される」というのもあるそうです。

ドゥテルテ大統領の逸話にびっくり

歴代大統領にまつわる、たくさんの逸話を伺いましたが、特にドゥテルテが就任した時に、宮殿の周りをデモしていた反対勢力のリーダーを宮殿内に招き入れてもてなし、話を熱心に聞いた、という逸話にはびっくり!

証拠の写真を、その「もてなし」が行われた実際の部屋で見て、話を聞くというのはなかなかの臨場感です。

賛否両論のある大統領ですが、これは魅力的過ぎるエピソード。政府運営のツアーということを差し引いても!

キリノ元フィリピン大統領の恩赦

この部屋では、キリノ元フィリピン大統領の肖像画があり、ツアーガイドの方が「これからとても大切な、あまり知られていない話をします。」と話を始められました。

日本軍が第二次世界大戦中にフィリピンを占領し、市民を巻き込んだ殺戮を繰り広げ、キリノ元フィリピン大統領の妻子も、無残に殺されたという話でした。

しかし終戦後、彼は100人を超える日本人戦犯に対し恩赦令を出したそうです。「憎しみの連鎖」を断ち切るために。

私はこれまで、日本人戦犯に対する恩赦の請願を種々の形で熱烈に受けてきましたが、最後の最後まで許すことが出来ませんでした。なぜなら私は妻と3人の子供及び5人の家族を日本人に殺されたからです。しかし、もし私がこの個人的な怨みをいつまでも持ち続けるなら、私の子供たちも、次々と永遠に持ち続けることになるでしょう。将来、フィリピンと隣り合わせの位置にある日本との関係は,あらゆる点において親しく助け合って共存共栄の実を挙げなければなりません。そのためには私恨を断ち切らなければならないと決心したのです。

ネットで拾ったものの出典はリンク切れでしたたが、内容は大方彼の話た通りでした。

<参考>
BuzzFeedNews:家族を殺されても日本兵105人に恩赦を下したフィリピン大統領 71年目の顕彰碑
マニラ新聞:第3回 ・ 戦時下の受難、「赦し」の背景。キリノ大統領の恩赦令
synodos:フィリピンで日本軍は何をしたのか?

ガイドの方が独自に資料を調べて、ツアーで特別にこの話をされているそう。

針のむしろっていうか、もう、いたたまれない気持ちで・・・申し訳ない気持ちと、そんなことさえ知らずに、のほほんとフィリピンにいる自分を責める気持ちと・・・。

この話をするのは、日本の非を咎めるためではなく、キリノ元フィリピン大統領の「寛大な許し」にフォーカスしたものであり、「憎しみの連鎖」に捕らえられた世界は今「許し」の心が必要であり、フィリピン人としてキリノ元大統領を誇りに思う、ということを伝えたかったのだと繰り返し強調されていました。

また、話す前に、その場唯一の日本人である櫻田に一言声をかけてくださったり、話の最中にヤジが飛ぶわけでもなく・・・話の後、思わず涙が流れた櫻田に、一人のフィリピン人男性が駆け寄ってきて「わたしたち、ともだち!」と日本語で握手を求めてきてくださいました。

話を聞いている間、手を握っていてくれた、一緒に参加したフィリピン人の友人、握手をしながら笑顔で励ましてくださるそのフィリピン人男性、それを見守るフィリピン人の参加者の方々・・・複雑でなんと表現したら良いのか分からないけれど、でもとてもあたたかな空気に包まれました・・・それは、キリノ元大統領の「寛大な許し」のようで。

その後は、ドゥテルテ大統領を絵で支援されるアーティスト、AYUMIさんの紹介となり、一気に日本への親近感が増すという流れになっていて、その構成に勝手に気遣いを感じて泣きそうになりましたっていうか、まあ、泣きました。


#AYUMIさんが大統領に贈った絵がたくさん飾られていました

ハフポス:ドゥテルテ氏の肖像画を描く日本人女性が伝える「報道されていない顔」
exciteニュース:日本人画家AYUMI氏に感謝ーフィリピン・ドゥテルテ大統領がマラカニアン宮殿で晩餐会

ツアーガイドの彼は、大学で日本語を勉強していたとのこと、親日家なのです。

今日伺った話は、日本でみんなに話すねって約束しました。

そして、とても良いツアーだったと、感謝の気持ちを伝えていたところ、その時に撮ってくれた写真がこれ・・・

「こずえ、彼と永遠の愛の誓いしてるみたいだったwww」と大爆笑されてしまいました(笑)

仕事できる!って感じの、将来有望そうな若い男性でした。

あと、10年若かったら・・・あ、10年じゃきかないわっ。

フィリピンへの旅行前に、歴史や文化背景など少しは勉強していったのですが、全く足りていないくて・・・ フィリピンについて勉強しています〜マニラ旅行〜 

でも、足りていないとか、知らなくて恥ずかしいとか、申し訳ないとか感じて落ち込むのではなくて、体験したことや学んだことを伝えて、さらに興味を持ってフィリピンという国を知ること、そして何であれ「憎しみの連鎖」を感じた時に、それを断ち切る勇気を、許す寛大さを持つことが、私にできることなのかな、と思いました。

キリノ元フィリピン大統領の顕彰碑は、日比谷公園にあるとのことで、今度立ち寄ってみたいと思います。

外務省:キリノ元フィリピン大統領の顕彰碑除幕式(2016年)

碑文に刻まれたキリノ大統領の言葉

私は、妻と3人の子供、5人の親族を日本人に殺された者として、彼らを赦すことになるとは思いも寄らなかった。

私は、自分の子供や国民に、我々の友となり、我が国に末永く恩恵をもたらすであろう日本人に対する憎悪の念を残さないために、これを行うのである。

やはり、我々は隣国となる運命なのだ。

私は、キリスト教国の長として、自らこのような決断をなし得たことを幸せに思う。

私を突き動かした善意の心が人類に対する信頼の証として、他者の心の琴線に触れることになれば本望である。

人間同士の愛は、人間や国家の間において常に至高の定めであり、世界平和の礎となるものである。

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