「嫌われる勇気」が大ベストセラーになり、新刊の「幸福になる勇気」も出ましたが、何か全体をまとめるようなものが読みたいけど、アドラー自身の著書はハードルが高そうだな・・と思っていたら、そんな櫻田にお誂え向きなコレを発見しました。
100分de名著(ネーミングセンス「de」に共感してしまったw)
人生の意味の心理学 by アドラー(岸見一郎)
図書館でチラッと隣りの人を見たらこのテキストを読んでいて、さらに、お誕生日ステイの本選びで偶然見かけ、しかも600円弱だったので即買いしました。何よりこの薄さがいい!100ページくらい。
・「やればできる」という可能性の中に生きていたいんでしょ?
・変われないのではなく、変わりたくないんじゃない?
言い訳や責任転嫁を認めないアドラー心理学は、非常に厳しい選択を突きつけますが、やってみよう、変わってみようと、行動を促す、勇気づけ、実践の心理学でもあります。
恐らく、たくさんの自己啓発本のベースになっていて、そんな自己啓発本大国アメリカで、最初にアドラー(オーストリア人ドイツ語)が英語で記した著書がこの「What Life Should Mean to You」であり、それを「嫌われる勇気」の共著者が解説したものが本テキストです。
一度、自分なりにアドラーの個人心理学を整理したかったので、激しく自分勝手にまとめてみました。とか言いながら、殆どが引用ですが、たまに勝手な推測や勘違いもあり、要注意。
今回は4章中2章分です。
第1章:人生を変える「逆転の発想」
・過去の経験は「決定因」ではない
今の自分の生きづらさを、親の愛が足りなかったからだ、トラウマがあるからだ、と主張する人は多いけれど、過去の経験は「決定因」ではない。
<原因論ー決定論>
フロイト:原因を、過去の客観的な事実に求める。トラウマ。
「わたしなんか魅力がないし誰も好きになってくれるはずがない」と思っているのは、過去に親の愛情を十分に受けていないから(とか、男性から何度も振られたとか)だ。
<目的論>
アドラー:原因を、隠された本当の「目的」に求める。
「わたしなんか魅力がないし誰も好きになってくれるはずがない」と思っていれば、人と関わる必要がなく、傷つかない。対人関係の中に入っていかないという目的を持っているので「自分のことを嫌いでいよう」と考える。(そこでトラウマ理論を持ち出す)
自己嫌悪し続けるのは、面倒な対人関係に入らずにいるという目的のための手段に過ぎない。変われないのではなく、変わりたくない。その変わりたくない目的に着目しなければ、本質的に問題は解決しない。
・対人関係に入っていく「勇気」を持つ
全ての悩みは対人関係に起因するが、生きる喜びや幸せもまたそこから生まれる。そこに入って行く勇気を出せない自分を、多くの人は過去の経験や環境のせいにしがちだけれど、「対人関係に入っていかない」というライフスタイルを選んだのは自分であり、自分で選んだのであれば、いつでも選び直せる。
★
ライフスタイルとは、ものの見方であり、思考パターン。人々は同じ世界を生きている のではなく、自分が意味付けした世界に生きている。
今の自分が、過去や環境に対してどのような意味付けを与えるか(ライフスタイル)によって、過去すらも変え、人生はいつでもいかようにでも自分で変えることができる。
無意識で自分が選んで来たライフスタイルを意識化し、それを選択し直すことによって、人生は逆転できる。自分を苦しめるようなライフスタイルを選んではいないか?
第2章:自分を苦しめているものの正体
優越性の追求と劣等感は誰もが持っているもので、努力と成長への刺激となるもの。
他者との比較や競争ではなく「理想の自分と現実の自分との比較」から生じるべきものだが。
・劣等コンプレックス:劣等感を言い訳に使うこと
見かけの因果律:
見かけ:「お腹が痛い」から「学校に行けない」
真 実:「学校に行く」という「対人関係の課題」から逃げるために「お腹が痛くなる」(実際本当にお腹が痛くなる)
人生の嘘:
嘘:「赤面症」だから「男性に告白できない」
正:「男性に告白して振られるのが怖い」から「赤面症」を創り出して、「対人関係の課題」から逃げている。
片想いの相手ともしかしたら一緒になれるかもしれないという可能性の中に生きる方がラク。
・優越コンプレックス:自分を実際より優れているように見せようとする
自分を大きく見せようとする人:自慢やひけらかし
他者を意識しているように見えるが、
他者から認められたいと思っているということなので、
自分のことしか考えておらず、他者のことを考えていない。
価値低減傾向:他者を貶め、相対的に自分の価値を上げる
強い劣等感を持っている人に
部下を理不尽に叱ってばかりの上司。いじめっ子。
・劣等・優越 コンプレックスがある人の共通の問題点
自分のことだけを考えて生きているという点。
関心を他者にも向け、敵ではなく仲間と考える視点が必要。
「貢献」「利他」という意識を持てるようになると、誰かと競おうとは思わなくなる。
すべての学びや行動は意識せずとも何らかの形で他者への貢献につながっています。誰でも他者に貢献することはできるはず。
★
自分を苦しめているものの正体は、人間関係において、他者との比較や競争から生まれる、劣等・優越コンプレックス。
人間関係の軸に競争があると思っている限り、人は対人関係の悩みから逃れることはできない。そこから抜け出すには「貢献」という意識を持つのがカギ。
ということで、3章、4章に続きます。きっといつか・・・。